2024.12.04
日々、皆さんの周りには「額縁」があります。
例えば、店舗やオフィスからご自宅まで、絵が飾られている場合は殆どが「額縁」に収められているかと思います。
今回は、そんな絵を額縁に収める「額装」について、初めての方でも分かるように解説していきます。
「額装する必要はある?」「額縁はどこで手に入る?」「額装をしてみたい」
そんな方は是非ご一読ください。
当店では、立体物やラグやユニフォームをはじめ、フィギュアや立体物等様々なものを額装することも多いですが、今回は一番依頼の多い「絵画などの平面作品」に絞ってお話しさせていただきます。
額装する上で、大きなメリットの1つとして挙げられるのが、保存性です。
絵画等の作品の素材は「紙」や「キャンバス地」が多いですが、これらは様々な要因による劣化があります。
劣化の主な原因はいくつかあり、
・作品の素材自体に含まれる成分に由来するもの
・光(紫外線)
・湿度による作品のシワやヨレ、カビの発生
・ホコリや汚れの酸化
・虫害
・物理的損傷
が考えられます。
額装することで、上記からある程度作品を守ることが可能になります。
紙の劣化
キャンバス地の劣化
額縁には、基本的にアクリルやガラスといった作品保護のための部材「グレージング」があり、これらは素材が持つ効果によって紫外線から絵画を保護することができます。
また、グレージングは中にある作品の見え方(視認性)にも影響します。
当店のグレージングサンプル
グレージングは、紫外線カット✖️視認性の2つの観点から選ぶことが重要です。
日本は温暖湿潤気候に属しており、特に高温多湿には気を使う必要があります。
それは紙やキャンバス地も同じで、湿気が多いまま作品を保存していた場合、最悪カビが発生します。
カビは紙に褐色の斑点模様を作り(フォクシング)これは一度できてしまうと取り除くのは不可能です。
しかし、マット額装(フレンチマット額装とも呼ばれており、メジャーな額装方法)に使われる、中性紙とも呼ばれるマットボードを挟むことで
・悪性ガスの吸着
・アルカリ性緩衝材等によるPH値の調整(額内の湿度に影響)
が可能となります。
ホコリ、汚れも作品保存の大敵です。
特にキャンバス地は付着したホコリを放っておくと、縫い目に入り込み酸化することで、よく見る「黄ばみ」が発生します。
また、この「黄ばみ」は高温多湿だとより酸化が進んでいく為、上記の湿気と合わせてカバーすることが大事です。
作品を移動する時(模様替えなど)や、地震が起こった際に壁にかかっている絵画が落ちる、という状況は大いに考えられます。
もちろん必ず損傷が無いとは言い切れませんが、額縁で周りをカバーすることは、作品保存において外的損傷から守るという大きな役割を果たすと思います。
額縁にも沢山の種類があり、当店で取り扱う額縁5000種類(都内最大規模)だけでなく完全なカスタムオーダーメイドや、アンティーク、流木を使ったものまで含めるとその種類は多岐に渡ります。
近年では、作品をそのまま飾るスタイルも見受けられますが、額縁と組み合わせることで作品の魅力を引き立たせていると感じるケースも依然として多々あります。
このように作品の背景イメージと、額縁の柄が見事にマッチするケースもありますので
額縁を視野に入れるだけでも、アートのインテリアとしての選択肢をさらに広げることができると考えております。
額縁が様々なケースにおいて収納の手助けになる場合もございます。
例えば
・複数の絵を一括で額に収める
・壁に飾ることで場所を取らない
・絵画以外のものを壁に飾ってみる
ケースバイケースではありますが、いくつか例を使いながら紹介していこうと思います。
特に厚みのない作品であれば、複数の作品を一つの額に収めることは可能です。
額縁は中の取り外し、入れ替えが可能ですので気分や購入した作品に合わせて飾る作品を変更することも可能です。
(ショップ等の店頭POP版がイメージしやすいのではないでしょうか)
こちら、一点注意が必要です。
額装する際に「マット」を使用したマット額装(フレンチマット額装とも呼ばれており、メジャーな額装方法)の場合、窓抜きを作品に合わせて抜いてる為作品サイズが合わなかったり、作品とマットをテープで固定している場合は剥がす場合に作品に損傷を与える場合がございますので、お気をつけください。
そもそも、作品を壁に飾らず立てかけて置いている場合、壁に飾ることでスペース確保になるかもしれません。
何より、立てかけて置いている場合は地震や外的損傷が起こる可能性が考えられますので、是非一度額装を視野に入れてみてはいかがでしょうか。
(このままだと危ないですよね)
額縁は絵画や平面作品に留まらず、「なんでも」額装することが可能です。
(Gucciのコレクションセット)
(Hermèsのタオル)
また、アクリルボックスにして壁に飾ることも可能です。
(こちらは額装という表現が正しいか不明です)
ミニカーコレクション
(Tiffany&Co. 2019年メンズコレクションのビリヤードセット)
このように、家の中にある大事なものを壁に飾ることで、インテリアにもなり収納スペースの確保にも繋がります。
実際に額装をする場合、2つの手段があります。
①額縁屋に依頼する
②自分で額装してみる
それぞれのメリットとデメリットを解説していこうと思います。
日本各地には様々な額縁屋があります。
Google Mapで検索すると、意外と額縁屋が数件出てくるかと思います。
近所で頼むのも良いですが、大事な作品なのでできるだけ安心できるところでご依頼したいですよね。
こちらの記事にて都内の額縁屋をおすすめしておりますので、一度ご一読下さいませ。
web上のECサイトやオンラインショップでも額縁を購入することが可能です。
また、上記の額縁屋にも既製品の額縁を取り扱っている可能性があります。
自分で額装するメリットはもちろん安く収まることですが、
デメリットとして
・作品を傷付けてしまう可能性がある
・マットを窓抜きする場合、作品と同じサイズで切ることが難しい
・オンラインでは質感が100%わかる訳ではないので、思っていたものと違うものが届く場合がある
上記が考えられます。
我々額縁屋としてもオンラインではなく額縁屋に足を運んで、できるだけご自身の目で質や裏面の機能を確かめることをオススメします。
普段中々触れる機会の無い「額装」について解説させていただきました。
一度「額装してみたい」と思ってもどこが良いのか分からないのが額縁業界だと思います。
当店FABRIでは、個性的なスタッフが親身に対応致しますので、まずは一度お電話かご来店いただければ全てお答えいたします!